繊細な感覚を持つHSPさんは日ごろから不安に悩まされている方も多いです。
私も昔から小さなことでも気になりだすと止まらなくなり、不安になりやすい体質でした。
ひどくなると不安障害や適応障害に発展してしまうこともある不安な感情をどのように扱えばよいのか、不安が起こる原因とともに紹介します。
不安な感情は人間のデフォルト装備
不安な感情はどこから湧いてくるのでしょうか?
なぜ私たちの中にあるのでしょうか?
もとを辿ると原始時代へさかのぼります。
原始時代には命の危険性にさらせれることが日常でした。
天候の変化や動物に襲われる危険や食料の確保など、いち早く身の危険を察しないと生き延びて来られなかったのですね。
毎日がサバイバル状態です。
自然の中で生活していくことは、現代のように安全な家があって水も火も食料も生活の保障もある状態とは違います。
「明日の命はどうなるかわからない」と思って生きていたわけです。
そのため、不安がなくぼーっとしていると、生き延びる可能性が減ってしまうことが予測されます。
遺伝子的にも不安を感じにくいと種は減ってしまい、危機に強く行動できるDNAを持つ人種が残って生き延び進化してきたという可能性もあるのです。
脳は生命維持を最優先するように機能しています。
人間にとって不安な感情をDNAにデフォルト装備しておくことは、生き延びるための戦略だったんですね。
不安は決してあなたを苦しめようとして起こる感情ではなく、生き延びさせるために湧いてくる自然な感情
排除しようと思えば思うほど、脳は危険を知らせようとしてますます不安になります。
ですので、不安な感情が湧いてくることは自然のままに放置していると誰でも起こることととらえられます。
現代に近づくにつれ、自然の驚異から身を守る必要がなくなってきたので
不安を引き出すきっかけや対象がより社会的なものになっていきます。
いつも安全第一!変化したくないのが生存本能
脳科学の視点から見てみると、五感で受け取った情報は感情をつかさどる偏桃体に最初に届きます。
ここで受け取った情報が行動や表情や自律神経に伝達されていく仕組みです。
脳は生命維持が最優先ですから、安心や安定を最も好みます。
命に別状がなければ現状そのままの状態維持が最善と判断して、いつでも身の安全を確保していたいのです。
ですが、偏桃体に刺激を受けて「何かこわいものがきた!」と判定すると
無意識に危機体制に入り
- 体が自然と緊張したり汗をかく
- 表情がこわばる
- パニック状態になる
といった症状になって現れます。
原始時代なら急な自然災害や動物の襲来などからそのような反応が起きたかもしれませんが、現代では
- 人間関係で相手の顔を伺ったとき
- 普段と違うシチュエーションになったとき
- 過去に恐怖を感じた出来事を思い出したとき
危機体制を引き起こされたりもします。
生存を維持するためのこわがる感情を伴う対象が
- 失敗したくない
- 恥をかきたくない
- 他人に脅かされたくない
- 傷つきたくない
など内面の葛藤や対人的で社会的な動機に移っていると考えられます。
それだけ人類の進化的に優秀な脳とDNA生存本能を持っているという印なんです。
変えられるのは不安のとらえ方
無意識に浮かんでくるように設定されている不安な感情は、人としてごくごく自然な現象なので完全に無くすことはできません。
不安を無理に消そうとすると
「おい無視するな!生き延びてくれー!命が第一やろ!」
と脳は余計に警報を鳴らすようになります。
ですが、警報が鳴らされた時に
どう受け止めるか
どう行動するかで
不安な感情はまるで海の波が引いていくように自然とおさめていくことができます。
まず最初のコツは、いま自分に不安な感情が湧いて来ていると客観的に認識すること。
言葉にすると簡単ですが、不安にのみこまれている状態だと思考がうまく働かなかったりするのでくり返し練習が必要です。
不安な気持ちが湧いてきたとき「私はいま、不安を感じている」と言葉にしてみるのもよい方法です。
胸のあたりに手を置いたり、お腹に両手を当てたりと自分の落ち着くやり方でじーっと感じてみてください。
不安になると頭がぐるぐるして次々とネガティブな考えが止まらなくなる人は、意識が頭に集中してしまうと余計に止まらなくなるので
体に意識を持っていくようにしましょう。
深呼吸をしたり、足ふみをしたりと頭から下へ下へと意識を地面にさげていく感じです。
頭から体、頭から体、と落ち着いてくるまで何度もやってみてください。
マインドフルネスの瞑想ができる方は、習慣的な瞑想も不安を軽減する大きな助けになります。
実は進化の最先端?
これは個人的な解釈になりますが、人間って常に進化すように促されています。
不安が強く生存本能が優秀な遺伝子を持っていることは、これから人が進化していくのに必要な試練のようなものとも考えられます。
今までDNA上では生命を脅かす不安と考えられていたことが、不安を乗り越えて新しく行動することで
「これは不安要素ではなかったんだ、命は脅かされないよ!」
と脳にくり返しインプットされていくと人類は徐々に新しいDNAを獲得していくのではないかと思うのです。
個人の人生でも、不安を受け入れ勇気を出して変化をしていく場面が必ずあります。
こわいけれど思い切ってやってみると、新しい扉が開けたようなスッキリとした感覚になったことはありませんか?
というのが飛躍しがちな私の仮説です。w
脳は使うほど変化していくので、行動して今までにはない経験をすることで新しいパターンを受け入れるようになります。
生まれつき不安要素が強い人はそのチャンスが生きている間にたくさん与えられているということ。
じつは進化の最先端にいる人種なのでは?とも思うのです。
不安を感じていて当たり前の現代
コロナウィルスが広がったり、火山の噴火や津波と異常気象も起こったりと現代は何かと不安を感じている方も世界規模で増えています。
実際に命の危険が関わるようなことがいつ日常に起こっても不思議ではない状況なので、
生存本能がいつでも命を守れるようにと敏感に発動しやすくなっているんですね。
人の心と世界はつながっているんだな~と思います。
ですから、今不安になっている方は、自分を否定したり責めたりする必要はまったくありません。
世界的な動きなので多くの人がそうなっている、不安なのは自分一人ではないんだなとぜひ思い出してみてくださいね。