HSPについての情報収集をしていると、「HSPは治る」「HSPは治らない」という両方の視点があります。
何をもって治ったというのかにもよりますが、HSPは診断名の付く病気ではないので病院で治療してもらったり薬で治すということはできません。
HSPの提唱者であるアメリカの心理学者エイレン・N・アーロン氏の調査では「生まれつき繊細な人」とされていますが
実際にはどうなんだろう?ということを検証してみました。
ベースにある特徴は生まれつきの気質

HSPの気質を持つ人の基本的な特徴として、4つのDOESというものがあります。
- 情報を深く処理する:Depth of processing
- 過剰な刺激を受けてしまう:Overstimulation
- 感情が動きやすく共感しやすい:Emotional reactivity and high Empathy
- 些細な刺激を察知する:Sensitivity to subtleties
この4つの気質は私自身の経験から考えても、持って生まれた個性の一つだと感じています。
自分の子どもの頃を思い返すと周りの人たちと何か違うと感じていた部分があり、この4つの気質に当てはまっていることが多いです。

ただし、その時の心理状況や環境によっても、刺激に対する敏感さや刺激の受け取り方は多少変わってくると思いますが
ベースにあるこの4つの特徴を大人になってからも、ずっと持っているという感じです。
遺伝子からの要素もある?

危険を察知する脳の偏桃体の働きが、HSP気質を持っている人のほうが持っていない人よりも強いという研究結果もあります。
アーロン博士の研究によると、不安に敏感で空気を読むことにも長けているHSPの要因の一つである
「セロトニントランスポーターのSS型」という分泌物の量は遺伝子で決まっているので、先天的な遺伝子による部分も間違いなくあると思います。
日本人はアメリカ人に比べて「セロトニントランスポーターのSS型」の遺伝子を持っている人が4倍近いといったデータもあり、
調和を貴ぶような古来からの日本人ぽい性格を見ても、そもそもHSP人口が多い国なのでは?と思われます。
本人が気づいている・いないに関わらず日本には5人に1人以上の割合でいるのではないかな~と個人的には思っています。
問題は気質ではなく後天的な要素?

HSPの気質が生まれ持ったものだとしても、そこのと自体は何の問題もないと私は思っています。
背が高い・髪の毛がくせ毛・声が高いといった、ただの個性の一部と一緒だと思うからです。
実際HSPの気質を持っていても、HSPだと気づかずに生きづらさを感じていない人もたくさんいます。
私自身の経験から、生きづらさを感じさせてきたのは幼少期から身に付けてきた
自己否定の習慣や周りに合わせようとしてきたこと、アダルトチルドレン的な要素にHSPの敏感さが加わったからだと感じています。

家庭や幼稚園、学校、会社と社会的な環境の影響を受けたあと、社会的に見て一般的ではない自分を受け入れられずに生きづらいと感じるようになったのではないかと思うのです。
生きづらさを感じさせている要素は解消が可能

HSPは持って生まれた気質ですが、生きづらさを感じさせているのは後天的な環境などの影響による要素が大きいです。
この後天的な要素は、心理カウンセリングで解消していくことが可能です。
生きづらさの原因となっている
- 他人の目を気にしすぎてしまう
- 対人関係のストレスをためやすい
- 無理をして頑張りすぎてしまう
- ネガティブな思考が止まらない
というようなお悩みは、安心感や自己肯定感を育むことで解消できる問題なんです。
つまり、自分で変えていける部分なんですね。
HSPの気質→変えられない
生きづらさの原因となっている後天的要素→自分で変えていくことができる
治る・治らないではなく生きづらさを解消する

このように問題を分解していくと、HSPの気質自体は病気ではありませんので「治る・治らない」という言い方には当てはまらないのが本当かと思います。
生きづらさを感じている状態なのであれば、
「変えられないHSP気質」について悩むよりも「変えられる後天的要素」に取り組んだほうがずっと効率的です。
「変えられる後天的要素」の悩みが解消していくことによって、HSP気質は悩みの原因なのではなく、むしろ能力の一つとして活かされていくようになります。
後付けしてしまったあなたの自由を妨げている思考の癖や価値観を手放すと、生きづらさは解消されます。